原稿料が支払われない… フリーランスが実際に遭遇した未払いトラブルの経緯(第2回)

フリーランスの自衛術

フリーランスとして仕事をしていると、
「これって大丈夫なのかな」と胸の奥に小さな不安が生まれる瞬間が多々あります。

相談する上司も同僚もいない。
そのときどきで、すべて自分で判断しなければならない。

原稿料の未払いに直面したとき、
私はその自己判断のなかで、忙しさに流されて“違和感”を見過ごしたり、
無意識に問題を先延ばしにしていました。

そして、悲しさや悔しさを経て、
いまは少額訴訟のための証拠整理という形で、
未払いに至った経緯を冷静に見つめ直しています。

この記事では、
違和感が兆候に変わり、やがて危機感へと変わっていった過程を、
当時の心の揺れとともに記していきます。

▶ 第1回はこちら:原稿料未払いの“最初のサイン”に気づけなかった話

原稿料未払いの兆候 

どこで「これは未払いだ」と見極めたのか

シリーズ記事の第一回目を納品し、掲載を確認したあと、
「あれ?請求はどうするんだっけ?」とふと立ち止まりました。

1回目の請求は問題なく振り込まれました。
しかし2回目は、請求書に記載した金額と振込額が違っていました。
消費税分が減額されていたのです。

理由を質問しましたが、返答はありませんでした。

「提示額が税込みだったのかな?でも、第一回目は満額だったのに……」 

これが最初の違和感でした。

源泉徴収の誤解と、追及できなかった理由

記事制作はどんどん面白くなり、編集者も忙しそうでした。

そんなとき、頭の片隅に“源泉徴収”のことがよぎりました。
当時の私は知識があいまいで、「原稿料は源泉徴収される」ということだけは知っていました。

「もしかして源泉徴収分として引かれたのかな?」 
そう思い、質問もしましたが返答はありませんでした。

実際には、発注者が源泉徴収分(10.21%)を税として納めるか、
フリーランスが自主的に納めるかの違いです。

それでも、記事制作のほうが楽しく、そちらに気持ちが向いていたため、
深く追及せずに“きっとそういうことなのだろう”と思うようになっていきました。

証拠メールの整理が“心の整理”になった

これまでは怒りや悲しみがわいてメールを見返すのも嫌だったのに、
証拠として納品や請求などに関するメールのやり取りを整理する作業は、
思わぬ“心の整理”にもつながっています。

  • どの請求が支払われていないのか 
  • いつ問い合わせたのか 
  • どんな返答があったのか(なかったのか) 
  • どこから状況が不自然になったのか 

整理していくうちに、メールのやり取りや未払いの経緯が
客観的に考えられるようになっていきます。

それは、心のどこかにずっとひっかかっていたものが、少しずつ、取れていくような感覚。

やっぱり、自分には、金額や手間の問題じゃなく、
この未払いについて決着をつけることがずっと必要だったんだな、と改めて思いました。

編集者の気遣いが安心材料になってしまった

編集者との原稿のやり取りは終始スムーズで、ユーモアを交えた会話もあり、
コミュニケーションは良好でした。

今回証拠をそろえるためメールを見直していると、
3回目の請求が滞り始めた頃、編集者から 
「支払については解決しましたか? また何かあればお知らせください」 
というメッセージが届いていました。

今回証拠メールをそろえるうえで、こうした編集者の気遣いがあったことに
少し心温まったのも事実です。

でも、悲しいことにそんな気遣いが、
未払いへの危機感を持つのを遅らせた一因にもなってしまったのです。

危機感が確信となったとき

シリーズ最終回まで納品が終わっても、3回目の請求は支払われませんでした。 

「1回1回の請求では負担が大きいのかもしれない」と考え、
4回目以降はまとめて請求することにしました。

結局、一部の金額の振り込みはあったものの、その後の支払いは滞ってしまいました。

  • 納品済みの記事がすべて掲載されている 
  • 請求書も送付済み 
  • 返答がない 
  • 一部だけ振り込まれ、残りは放置

振り返ると「危機感を抱くのが遅すぎる」と思いますが、
私はようやく「これは遅延ではなく、未払いだ」と確信しました。

気づくのが遅くなった原因としては、
シリーズの執筆がどんどん面白くなって“流れ”に乗っていたこともあり、
制作のほうに気持ちが向きすぎていたことがあげられます。

なにより、対面で打ち合わせもしているし、
いざとなれば直接訪ねることも電話連絡もできる環境で、
未払いが起こるとは想像していませんでした。

内容証明を送る前に必要だった“時間”を経て少額訴訟へ

ここまでのプロセスでも、このあと続く少額訴訟の準備でも、
誰かを批判したり、糾弾したりするという行為には、
想像以上の熟慮と検証が必要だということを痛感しました。

いまの風潮も含めて、「事実を扱うことの重さ」を
自分自身に引き戻すような体験でもありました。

この先の、請求書の再送や内容証明、少額訴訟の準備といった
“実務の流れ”については、別の記事でまとめていく予定です。

同じ状況で悩んでいる方が、少しでも迷わず進めるための参考になればと思っています。

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