フリーランスとして働く中で、法律は遠い存在のようでいて、実はすぐそばにあるものだと気づかされる出来事がありました。
今回書くのは、そんな経験を通して、「フリーランスとして働くなら、ここだけは知っておきたい」と感じた基本のルールについてです。
法律を読むようになった理由
著作権侵害にあったとき、私は初めて「法律を読む」ということをしました。
言葉を扱う仕事をしてきたからこそ、書いてあることを読み取り、
自分の主張がルールに沿ったものであるかを考え、
相手側に正確に伝える文書を書くことが重要だと考えたのです。
その後、記事制作の仕事の中で「フリーランス保護法」について知り、
ガイドラインや法律を読み、記事としてこの法律を紹介しました。
フリーランスとして働くなら、この法律は避けて通れないと感じたからです。
今回の原稿料未払いにあったとき、
「法律を読んだこと」が再び私を支えてくれました。
そして、少額訴訟の準備を進める中で、私はもう一度、
「フリーランス保護法」とその前身となるガイドラインを読み返しました。
フリーランス保護法の基礎
ここからは、私自身が不払いの経験を通して「知っておいてよかった」と感じた、フリーランス保護法の基本を整理していきます。
フリーランス保護法とは?
まずは、この法律がどんな目的でつくられたのかを簡単に見てみます。
2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」。
通称「フリーランス保護法」「フリーランス法」と呼ばれるこの法律の正式名称は、
「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。
この法律は大きく分けて、
- フリーランスと発注事業者の取引を適正化すること
- フリーランスの働く環境を整備すること
この2つを目的としています。
参考サイト:政府広報オンライン「フリーランスが安心して働ける環境づくりのための法律、2024年11月からスタート!」👉https://www.gov-online.go.jp/article/202408/entry-6301.html
「フリーランス」とは誰のこと?
法律の対象になる“フリーランス”の範囲は、意外と誤解されやすい部分もあります。
この法律上の「フリーランス」とは、
「業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないもの」を指します。
つまり、
- 企業から業務委託で仕事を受けている
- 従業員を雇っていない
- 個人で事業を行っている
この条件に当てはまる人は、基本的に「フリーランス」に該当します。
たとえば、わたし自身は企業から編集やライティングの仕事を業務委託で受注し、
ひとりで業務を行っています。
そのため、この法律上は「フリーランス」に該当します。
自分が対象か迷ったら
自分の働き方が法律の対象になるのかどうか、判断に迷うこともあると思います。
「自分はこの法律の対象になるのかな?」
と迷ったときに便利なのが、こちらの公正取引委員会のフリーランス法特設サイトです。👉https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/
フローチャートで簡単に診断できるので、
自分の働き方が法律の対象になるかどうかがすぐにわかります。
このサイトに掲載されている例を引用すると、
たとえばカメラマンの場合は次のように整理されています。
- 企業から撮影の業務を委託される→ フリーランス(法律の対象)
- 一般消費者から家族写真の撮影を委託される → ×法律の対象外
- 企業や消費者(不特定多数)に自作の写真集を販売 → ×法律の対象外
つまり、
「企業との業務委託契約があるかどうか」
が大きな判断基準になります。
契約書がなくてもフリーランスは守られる
実際の現場では、契約書がないまま仕事が始まるケースも少なくありません。
それでもフリーランスが守られる仕組みが、法律には用意されています。
フリーランス保護法では、契約条件を明示する義務は“発注側”にあるのです。
契約書なしで仕事が始まる現実

わたしがこれまで編集やライティングの仕事を受けてきた中で、
「契約書なし」でスタートする案件は、実は珍しくありませんでした。
知り合いから声をかけられたり、
企画の話が盛り上がってそのまま走り出したり。
気づけば、
「そういえば契約書どうなっているんだろう?」
「報酬っていくらだったっけ?」
「税込?税抜?」
と、納品してから確認しなければいけないこともよくありました。
ただ、ここ数年は電子契約サービス(クラウドサインなど)が普及し、
契約書を取り交わすケースが増えてきたように感じます。
契約書がなくても泣き寝入りしなくていい理由
では、もしトラブルが起きたとき――
たとえば、
- 原稿料が支払われない
- 何度も書き直しを要求される
- 契約内容と違う作業を求められる
こうした問題が起きたとき、
契約書がないとフリーランスは泣き寝入りするしかないのでしょうか?
答えは「NO」です。
明示義務とは?(業務内容・報酬額・支払期日)
フリーランス保護法では、
発注事業者に対して次のような義務が課されています。
「委託する業務の内容」「報酬の額」「支払期日」などの取引条件を
書面・メール・SNSのメッセージなど“電磁的な方法”で明示すること」
つまり、
- 契約書
- メール
- チャット
- DM
どれでもよく、
発注側が条件を明示する義務があるということ。
契約書がないからといって、
フリーランス側が不利になるわけではありません。
メールでも契約は成立する
たとえ契約書がなくても、日々のやり取りが契約の証拠として十分に機能します。
- 原稿を送付したときのメール
- 相手からの受領メール
- 報酬についてのやり取り
- 納品後の反応
これらが残っていれば、
業務委託契約が成立していたことは十分に証明できます。
”支払期日を設定する義務”は発注側に
契約書や請求書に書かれるべき項目に「支払期日」があります。
では、契約書がなければ支払期日はどうなるのでしょうか?
「いつでもいい」「何年も払わなくていい」
そんなことはありません。
フリーランス保護法では、
発注事業者は次のように定められています。
「成果物を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で支払期日を設定し、
その期日内に報酬を支払う義務がある」
つまり、
“支払期日を決めないままにしておく”ことはルール違反。契約書などで明記されていなくても、法律で定められた期日(成果物を受け取った日から60日以内)に支払う義務があるのです。
契約書がない=フリーランスがルーズ、ではない
契約書を交わしていないことを理由に、
フリーランス側が軽んじられたり、
「あなたが契約書を作らなかったのが悪い」と言われたりすることがあります。
でも、それは法律上まったく正しくありません。
契約条件を明示するのは発注側の義務。
契約書がないことを理由に、フリーランスが不利益に対して泣き寝入りする必要はまったくありません。
自分を守るための契約書
ここからは、契約書がある場合にこそ気をつけたいポイントにもふれていきます。
契約書がある=安心ではない
最近は、フリーランス保護法の影響もあってか、
契約書が用意されている場面が増えてきました。
ただ、ここで気をつけたいのは、
「契約書がある=安心」ではないということ。
大切なのは、契約書の内容をきちんと確認することです。
契約書で必ず確認したいポイント
たとえば、ライティングなどの仕事では、次のような点を事前にチェックしておくと安心です。
- 自分に不利な文言はないか
- 報酬が不当に安すぎないか
- 納期、修正回数や追加作業の扱いはどうなっているか
といった点は、注意して見ておきたいところ。
とくに報酬については、
未経験からスタートする場合、
「まずは実務を積みたいから、いくらでもいい」と思ってしまうことがあります。
”未経験”でも”価値”はある
たとえその業種や職種で“未経験”ではあっても、
これまでの経験が役立つ場面は必ずあります。
編集やライティングの仕事なら、
社会人としての経験、コミュニケーション力、文章力、調整力など、
これまで積み重ねてきたものが自然と活きてくる。
自分がいた業種でのコネクションだってあるでしょう。
だからこそ、
その価値をきちんと認めてもらえる契約が理想的だな、と感じています。
そして、その理想を考えると、
まずは 自分の価値をきちんと伝えられる環境があること が大切だと気づきます。
たとえば大手の仲介サービスでは、
クライアントと直接やり取りできる範囲が限られ、
こちらの意図や価値が十分に伝わらないまま進んでしまうこともあります。
その結果、誤解が生まれたり、追加作業の線引きが曖昧になったり、
トラブルの芽が見えにくくなる可能性もあります。
だからこそ、
スムーズにやり取りできる相手や、一方通行ではないコミュニケーションができる相手が、
私にとっては、「一緒に仕事をしやすい相手」だと感じています。
契約書を読むことが、自分を守る第一歩
契約書は、相手のためだけでなく、
自分の働き方を守るための大切な道具。
フリーランスとして働くうえで、
「内容を読む」という行為そのものが、
自分を守る第一歩になるのだと思います。


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