フリーランス保護法を読み進めていくうちに、
私たちフリーランスが法律によって守られている部分が
想像以上に多いことに気づきました。
知っているだけで、フリーランスの選べる行動の幅は大きく変わってくると思います。
フリーランス保護法で認められている権利とは? 自分はどんな権利を主張するのか?
もちろん、発注側とのパワーバランスがある以上、
これらの権利をそのまま主張できるかどうかは
状況によって変わります。
フリーランスは会社にしばられない働き方だからこそ、
自分の中に「ここまでは許容できる」という一線を
持っておくことが大切だと思っています。
その線を越えたときには、
関係性を気にしすぎずに声を上げることも必要だし、
逆に「ここは様子を見よう」「穏便に済ませよう」と
判断する場面もあります。
大切なのは、
その判断を“自分で選べる状態”でいること。
そのために、法律を知っておくこと。
自分が仕事をしていくうえで大切にしたい価値観を言語化しておくこと。
そして「ここは譲れない」というポイントを
持っておくことが欠かせません。
この記事では、
フリーランス保護法で定められている禁止行為について、
わたし自身の経験を交えながら書いていきます。
フリーランス法で発注側に禁止されている行為
フリーランス保護法を知っておくことは本当に重要です。
ライティング業務の受託でよく耳にするようなトラブルの多くが、
実はこの法律で“禁止行為”として明確に定められています。
フリーランスに対する禁止行為
たとえば、次のような行為は法律で禁止されています。
- 受領拒否(納品したのに「受け取らない」と言われる)
- 報酬の減額(合意した金額を後から下げられる)
- 買いたたき(市場価格より著しく低い金額を提示される)
- 不当な給付内容の変更・やり直し(契約外の作業を“無料でやって”と言われる)
これらは、フリーランスが不利な立場に置かれやすいことを踏まえ、
法律で明確に禁止されています。
ライティング業務は「どこまでが仕事か」が曖昧になりやすい
禁止行為の中でも、とくに私が気になったのが
「不当な給付内容の変更・やり直し」 という項目です。
編集やライティングの仕事は、
そもそも 業務範囲の線引きがとても曖昧になりやすい と感じています。
成果物に対しての報酬という文化
紙媒体の仕事では、
「●文字いくら」「構成からだといくら」「校正2回込みでいくら」
といった 成果物ベースの報酬 が一般的でした。
Webライティングでも時給制の案件は増えてきましたが、
「作業時間に対して報酬が発生する」という感覚は、
まだそこまで浸透していないように思います。
思い入れのある記事ほど、時間の線引きが難しい
たとえば、時給制の案件で、ある記事について 24時間ずっと考えていた としても、
その“考えていた時間”を時給として申請することはまずありません。
リサーチに時間をかけても、
「どこまでが業務時間なのか?」
「これは自分のこだわりなのか?」
と迷うことが多いのです。
私は最終的に、実際に使った情報のリサーチにかかった時間のみ を
作業時間として申請するようにしています。
ただ、質のよい記事を書こうと思えば、
リサーチは広ければ広いほど、深ければ深いほど良い。
プロとしては、自分が納得できるクオリティにしたい。
でも同時に、
発注側がその記事にかけられる予算 を考えなければなりません。
だからこそ、
「予算」「求めるクオリティ」「成果物の目的」を事前にすり合わせておくことが本当に大切 だと感じています。
そして、作業時間として申請しなかったリサーチは、
また次の仕事に活かしていけばいいかな、と思います。
複数案件を同時進行していると、さらに曖昧になる
ライターや編集者は複数の案件を並行して進めることが多く、
「この1時間はどの案件の作業だったのか?」
と明確に区切るのが難しい場面もあります。
校正や修正は“どこまで契約に含まれるのか”
ライティング業務として受託している場合、
校正が報酬に含まれているのかどうか、
その線引きが曖昧なことも少なくありません。
また、制作の目的や用途が十分に共有されていなかったり、
ヒアリングや契約で明確にされていない場合、
発注側が期待する成果物とズレが生じることがあります。
その結果、想定外の大きな修正が発生することもあります。
そもそもライティングや編集の仕事は、
“完成”の基準が人によって揺らぎやすい という特性があります。
だからこそ、業務範囲が曖昧になりやすいのだと思います。
だからこそ「不当な変更・やり直し」が起きやすい
業務範囲が曖昧なまま進むと、
- 「ここも直しておいてください」
- 「ついでにこれもお願いします」
といった依頼が、契約外の追加作業なのかどうか判断しづらい。
結果として、
“無料での追加作業”が発生しやすい構造 になってしまうのではないかと思います。
これは、まさにフリーランス保護法が禁止している
不当な給付内容の変更・やり直し
につながっていくように思います。
未経験フリーランスの報酬の安さをどう判断するか

私は、フリーランスとして編集やライティングとはまったく異なる、
未経験の業種に挑戦した経験があります。
そのときに体験したのは、次の2つのケースでした。
ケースA ― 時間単価は低めだが、スキル前提の案件
会社Aは、時間単価が少し低めに設定されている案件でした。
ただし、求められるスキルは高く、
「スキルが十分にある場合の単価より低め」という位置づけ。
- 未経験でも応募可
- 発注側も未経験であることを承知
- できる範囲が限られている前提で単価が設定されている
という、ある意味で“フェア”な条件でした。
ケースB ― 時間単価は普通だが、仕事量が少ない案件
もう一方の会社Bは、時間単価は一般的。
ただし、割り振られる仕事量が少なく、
「やればやるほど稼げる」というタイプではありませんでした。
- 長期契約
- 仕事量は少なめ
- 結果として報酬は少ない
という構造です。
どちらも「経験を積む」という意味では大きな価値があった
結果として、どちらの案件でも 得難い実務経験 を積むことができました。
私にとっては、
「勉強をしながら報酬をいただけるなんてラッキー」
という感覚に近かったです。
年間で見てみると、
新しい業種に挑戦した初年度の収入は、
編集やライティングで稼いだ金額の 約4分の1 ほど。
決して高いとは言えませんが、
“経験を買っている”という意味では納得できるものでした。
同じ条件でも「安い」と感じる人もいる
同じ会社で、同じように未経験から仕事を受けた人の中には、
「報酬が安い」と感じる人も多くいました。
一方の私は、年数を重ねるごとに経験が増え、
作業時間が短くなり、
報酬が“業務時間に見合う”形に近づいていくのを感じました。
つまり、
未経験からのチャレンジは、短期ではなく“数年単位”で見ないと評価できない
ということです。
未経験からの挑戦は、3年くらい経たないと見通しが立たない
個人的には、
フリーランスで未経験の業種に挑戦する場合、
3年くらい経たないと見通しが立たないと感じています。
もちろん、
「今すぐ生活費を稼がなければならない」
という状況では難しい。
でも、長い目で見れば、
自分のスキルに合う仕事を見極める時間が必要です。
長く付き合える発注元を見つけることが、いちばん難しくて、いちばん大切
未経験からの挑戦で最も重要なのは、
長く付き合える発注元を見つけることだと思います。
- スキルの成長を見守ってくれる
- 少しずつ仕事の幅を広げてくれる
- フリーランスを“使い捨て”にしない
- こちらの状況や成長を理解してくれる
こういう発注元に出会えるかどうかで、
未経験からの挑戦の価値は大きく変わります。
そして、こうした関係性が築けると、
報酬の“安さ”は一時的なもので、
長期的にはスキルと報酬が釣り合っていくことが多いと感じています。
働き方を自分を”軸”として決める指針として
フリーランスとして働いていると、
報酬の高さ・安さ、業務範囲、どこまで引き受けるか、どこで線を引くか
といった判断を、いつも“自分”を軸に決めていく必要があります。
その判断は、誰かが代わりにしてくれるものではありません。
だからこそ、
自分の中に「基準」を持っておくことが大切だと感じています。
その基準のひとつとして、
私は 法律を知っておくこと がとても大きな支えになりました。
- どこまでが自分の責任で
- どこからが相手の義務で
- どこから先は「不当」なのか
それを知っているだけで、
フリーランスとして選べる行動の幅が大きく変わります。
次回は、
「フリーランス法が施行される前はどうだったのか?」
というテーマで、私自身が原稿料不払いに遭ったときのこと、
そしてそのときに頼りにした“ガイドライン”について書いていきます。


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